元気です。- part 7 - [Novel]
ガサゴソ ガサガサ
物音はだんだんと大きくなってくるようでした。
ぐったりとしていた子ガラスでしたが、何かを感じ取ったようで、
ハタと目を覚ますと、ちぃさなすずめを揺り起こしました。
「おい。なんか近くにいるぞ !!」
『ふへぇ・・・。。なぁに ?』
「おい、目を覚ませよぉ~。。頼むからぁ。。」
「あたりを警戒してろよ。おいらは少し偵察してくるからさ。」
『ぅうん。。わかったぁ。。』
そんな会話をしながら、子ガラスはジリジリト前を警戒しつつ、
後ずさっていきました。
一歩一歩。。また一歩。
ガサゴソとしていた音が、ズゥ~リ、ズ~ゥリとなってきました。
まるで子ガラスの歩調に合わせるように・・・。
いっぽ歩くと、ズゥ~リ。。また一歩で、ズ~ゥリ。。
もう20歩ほど歩いたでしょうか。。
そして一歩・・・と足を出したとたん、
ぼょ~ぉぉぉんとね何かに当たったかと思うと、
ムジャムジャ毛むくじゃらの手が、ガッシと子ガラスに絡みつきました。
「ぎゃあ~~~」
と、とても大きな子ガラスの声。
ちぃさなすずめが弾かれたように後ろを振り返り、声のする方を見ると・・・。
なんと、ふわふわの毛を身にまとった毛むくじゃらの物体が、子ガラスをギッシと抱きしめていた。
!? 食われちまったのか?
ちぃさなすずめは一瞬たじろぎましたが、大急ぎで子ガラスの元へ駆け寄りました。
すると子ガラスは声を限りに叫びました。
「おまえは、来ちゃだめだぞぉ~」
『やめてぇ~・・やめてよぉ~』
ちぃさなすずめも負けずの大声で、ムクムク毛むくじゃらに向かって言いました。
『おねがぁ~い。。カラスさんを放してあげてぇ~』
『おねが~ぁぁぁぁぁぁい !!』
すると、子ガラスの頭の後ろから、ぴょこんと顔が出てきて・・・
子ガラスと目を合わせた瞬間に、ムクムクが、
ぎゃぁ~!!!!!と叫んで、ぎゅっとしていた手をパッと離しました。
か・カラスだぁ~。。。なんじゃ何じゃ!?と・・・。
急に手を離された子ガラスは、その拍子でどてっとしりもちを、
そのムクムクのおなかの上についてしまいました。
ムクムクは、そのままグローキー・・・。
『カラスさん・・・。どうもムクムクは伸びちゃったみたいですが・・・。』
「わっ!! ほんとだぁ・・・。」
「こいつ大丈夫かなぁ・・・。」
『手だけツタで縛っておいて、お手当てしてあげようよ。』
『ぼくは、夜露を汲んでくるよ。』
「よし、おいらはこいつを見張ってるよ。」
そういって、ちぃさなすずめは大きな葉っぱを探しに、
子ガラスは枯葉で団扇を作ってムクムク毛むくじゃらの大物を、扇いでやっていました。
しばらくして、ちぃさなすずめが戻ってくると、葉っぱの先をムクムクの口元に持って行き、夜露の束を転がしました。
水滴が口の周りでピチャッと跳ねると、そのムクムクはビックとしてから、大きな目を見開きました。
ど・どうしたのかすら・・・あたいんは??
「わはははは。。なんかお前訛ってるな。」
「おまえは、なんちゅー名前なんだぁ?」
あ・あんれぃ。。。手がぁ動くわねいぞ。
『ぼくたち、あなたを知らないから、
それに、あんなことがあった後だし・・・こわくってぇ。。』
あっ!!
あんれぃは、あたいもごわがっだぁだよぉ。。
きゅんに、尻さぁ、なんがくっ付いてくんだものぉ~。。
いづもの癖で、思わず、ぎゅって手を縮めたら、
なんだか、カラスが手ん中にいたっけぇ・・・。
おんどろいたさぁ~。。
あれは、おめかぁ・・?
子ガラスは、こっくりと首を縦に振った。
あんりゃあ~。。すまんかったのぉ。。
おどれーてしもーたけのぉ。。
けがさ、すなかったけ?
んだば、よがったぁ。。。
『ねぇ・・・カラスさん。
ムクムクさんのツタを解いてあげようよ。』
『ねぇ。。。ムクムクさん。。解いても暴れないでね。』
ぅん? ムクムクってなんじゃ? おらのことかぁ?
おらぁ、山リスって言うだよぉ。。
なんにもすねいよぉ。。
ツタ。解いてけろ。
『カラスさん。。いぃい?』
「ああ。。一緒に解いてやろう。」
そう言うと、ぐるぐる巻きにしてあったツタの端をくわえて、
山リスの両手から解いてやった。
ほぉ。。いぎがえったよぉ。。あんがとなぁ。
ところで、おめたち。。
どして、こんな地べたにいたんけのぉ?
カラスや雀にとっちゃ、寝るにはあぶねぇ場所だぞ。
子ガラスとちぃさなすずめは、なんだか久しぶりに家族に会ったような、
なんだか変な気持ちが芽生え、この山リスに今までの出来事を、
いろいろ話して聞かせた。
そして、森を出れなくなっていることも・・・。
うんうん。。と頷きながら聞いていた山リスは、
話を聞き終わると・・・。
それはていへんだったっすなぁ。。。と、同情してくれた。
んだけどな。。。と、話は続いた。
んだけんど、どんなにづがれていでも、こんな地べたで寝ちゃなんねぃ。
地べたには、飛べるものたちを羨んでいるものたちが、ウヨウヨしているけのぉ。
そんなやからは、隙あらばなんか悪戯をしてやろう!!と狙っておる。
そんなおぞぎゃあやつらが、沢山いるけいのぉ。。
すげくあぶねぇんだぞ。
地べたを這うものには、地べたでの生き方が、
空を飛ぶものには、空を飛ぶ生き方が、
羽しか持たぬものには、それなりの生き方があるんじゃけぃの。
それを尊重すねばなんねい。
わかるかのぉ?
たとえば空を飛ぶものが、高い枝の木の実を食べて、
種を遠くに運んでくれなくては、
新しい立派な木は生えてこない。
また、地べたを這いずり回るものたちが、
土を柔らかくしなくては、せっかくの種も実をつけない。
そして、羽のあるものが、花粉を持って運ばなければ、
高い枝にも低い植物にも実がならねぇ。。
それぞれが、それぞれを助けているんじゃ。。
不思議ずら? わかったけ?
んだば、よがったぁ。。
そうそう。。
森を抜けるためのよか知恵はのぉ。。
木の枝は、陽の差し込んでくるほうに伸びるんじゃ。
つぅことはじゃのぉ。。
森の真ん中では、枝は上に伸び、森の端っこに行けば、
枝は外へと向かって伸びるんじゃ。
わかるかの・・・?
森の中にはいろんなものがおるけぃ、
気をつけてゆくんじゃよ。。
まずは、ねぐらをちゃんと確保するが先決じゃての。
んじゃ、気をつけてのぉ。。
そう言うと、山リスは木の実をいっぱい抱えなおし、
森の奥深くへと消えてゆきました。
子ガラスとちぃさなすずめは顔を見合わせると、
真っ暗な中を、今日のねぐらを探すため、高く飛び立ちました。
2006-08-16 18:37:53up
2008-06-30 改up
元気です | -1- | -2- | -3- | -4- | -5- | -6- | -7- | -8-つぎへ |
よろしければ、番号をクリックして読んでくださいね^^
Copyright(c)2005-2012 tozyee ゆめ乃. All Rights Reserved.
きれいな緑色ですね~
by ガンバルおやじ (2008-07-01 12:54)
ガンバルおやじさん、こんばんは。
ふふ。。この季節らしいでしょ^^
苔で有名な平泉寺は、今が一番きれいな色をしています。
ちょっとした、オメメ休めでした(笑)
見てくださって、ありがとうございました☆
by ゆめ乃 (2008-07-02 02:48)
kemmさん
yannちゃん
こんばんは。nice!をありがとうございました☆
ちょっとお空の情報を置いておきますね。
6日(日) には、細いお月さまと、火星、土星、レグルスがとても接近して並びます。
この前後。。。5日~7日ごろも近づいていますので、楽しめると思います。
そして、7日の新暦の七夕の日には。。。
こんな並んだ星たちを一緒に見上げて、七夕祭りをしましょうね。
by ゆめ乃 (2008-07-02 02:53)
やっとゆっくり読める時間がもてました
ご無沙汰しております
写真、良いですね(^^)
美味く言葉に出来ないのですが、奇麗です
by Qoo (2008-07-10 15:33)
Qooさん、ありがとうございます。
これは、福井県にある苔で有名な平泉寺という所です。
いまの季節の苔は、例えようもなく美しいですね。
雨の恵いっぱいです^^
夏は、吹く風も涼しく、あたしの一番のお気に入りの場所です。
こちらにお越しの際には、ぜひ、お立ち寄りくださいませ。
とは言うものの、何もない所過ぎて、がっかりしちゃうかも・・・。
でも、気分は最高に清しくなること請け合いです(^-^)
お時間のあるときには・・・ねっ♪
by ゆめ乃 (2008-07-17 00:25)
COCOさん
sazanさん
M-cubicさん
まちゃこさん
こんばんは。
見てくださって、ありがとうございました。
もう近畿や中国地方の梅雨が明けたみたいですね。
今年の梅雨は、なんだかちょっと・・・変かも!?
こちらでは、あまり雨が降りません。
でも、あけ際が怖いので。用心用心・・・ですね。
by ゆめ乃 (2008-07-17 00:33)