雪のち晴れ(種 -part 2-) [Novel]
陽射しがうれしいのは
ぴんと張った藁の縄と
キシキシ軋む 細い枝先と...
只今、雪吊りも活躍中です(笑)
お日さまが顔を出すと、少しずつ雪も融けて・・・。
水仙の足元で、キラキラ・キラキラ。。
まるで大きな輪を回して作る、削りたてのカキ氷みたい♪
この先、物語「種 -part 2-」が始まります。
よろしければ、ひとつ前の -part 1- から読んでいただけると、とてもうれしいです☆
また、カテゴリーのものがたり-indexからひとっ飛びすると便利です☆
ちなみに、-part 1- で使用した種の写真は、ねこじゃらしの種です(^-^)
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種 -part 2-
「ねぇ。。これでいいの?」
・・・・・・・
『おぅおぅ。。それでよいのじゃ。』
『あっはっはっはっは。。
これでやっと、肩の荷が下りたというもの。』
『おまえさんよ、よくお聞き。』
『その銀の種は、次に交代してくれるものが来るまでは、
決して取り出しても、落としてもならないよ。』
『一度落としてしまうと、二度と元の場所へは戻れないからね。』
『ちょっとでも羽ばたこうとしたら、種は落ちてしまう。』
『気をつけるんじゃよ。』
『そして・・・』
年老いた鳥は、もう少し大切な事を教えると、
身体を2~3回ブルブルと震わせて、うれしそうに翼をはためかせ、
遠くに見える陽の光に向かって飛び立っていってしまった。
それを見送ると、お腹のすいていた若いヒヨドリは、あまり深く考えずに、
おいしそうに見える種のほうから夢中でついばみ始めた。
どうも、種には二通りあるらしい。
おいしそうに見える種と、まずそうに見える種。
どうせ食べるなら、おいしそうなほうに限るよね。
それに・・・。
まずそうな種は、たったのふたつ。
おいしそうな種は、どんどん増えているんだから。
一人っきりは淋しいけれど、食べては眠り、
歌をうたいチョコチョコ小走りで遊んだりするのも、なかなか気楽なもので・・と。
もともとグウダラな若いヒヨドリのこと、
それはそれで結構楽しく暮らし始めていた。
ただ、何日か経った頃から
まずそうに見える種のほうが増えてきたように思える。
だから、どんな味がするのかと、ひとつついばんでみた。
「ぐぇ~。。なんじゃこりゃ。」
「苦くって、食えたもんじゃないぞ。」
「ひぇ。。やっぱりまずそうな種は、不味いってこった。」
そういうと、またおいしそうに見える種を食べ始めた。
それからまた何日か経つと、
おいしそうに見える種がほとんど無くなってしまい、
代わりに不味そうな種がいっぱいになってきた。
ヒヨドリは、
種を掻き分けておいしそうに見える種を探して食べていたが、
それもとうとう底が尽きてしまったようだった。
若いヒヨドリは、老いた鳥の言葉を思い返してみた。
『おいしそうな種ばかり食べていると、
やがて不味い種しか残らなくなるんじゃよ。』
『おいしい種をずっと食べたければ、
おいしい種がたくさんあるうちに、
不味い種を少しずつ食べてやらねばならぬ。』
『おいしい種が無くなってしまってからじゃ、
なかなかおいしい種は出てこないんじゃ。』
『悩む時があれば、池の底をじっとのぞいてみてごらん。』
「おいしい種がいっぱいの時に、
不味い種も食べなくっちゃ駄目だったんだなぁ。。」
「んなこと言ったってぇ~。。」
「いまさらじゃん。」
「とりあえず、池でも覗いてみっかぁ。。」
若いヒヨドリは、いつもの水飲み場の横にある池に身を乗り出し、
ずっと深い底を見つめてみると・・・。
あんなにも楽しかった、幸せだった時間。
何故こんなにも、悲しく苦しい時間になってしまったのか・・・。
考えるほどに、悲しいことや辛いことしか思い浮かばず、
悪い方へと考えが流れて行く。。
あ~ぁ。。自分が嫌になっちゃう。
あたしの幸せの種は、もう無いのかしら。
不幸の芽ばかりが、たくさん咲き誇っているようで・・・。
もう、息子が何を考えているのかが分からない。
いつも2階の自室に閉じこもって、
出てくれば悪態をついて、手を上げようとする。
夫に言っても無関心だし・・・。
ううん。。
あの人はいつだって自分勝手。
自分の好きなことは、どんな事だって楽しそうにしているのに。
あたしのほんの些細な願い事には、耳も貸してくれない。
あの人の心が離れていくのが、手に取るように分かってしまう。
あたしは、ただの家政婦のよう。
あたしはここから、もう逃げ出してしまいたい。
別れたい・・・って願うのは、あたしの我がままかしら。
もう、ほんの少しの幸せも見つけられないというのに。。。
若いヒヨドリは驚いた。
どういうことなんだろう。。って。
空腹のまま何日か過ぎ、
その間にもどんどん不味そうな種が増え続けている。
どういう事かは分からないが、お腹がすいてたまんなくなってきた。
お腹は空きすきだけど、おいしそうに見える種は、もうどこにも無い。
でも、背に腹は代えられぬってことだけは、よぉくわかっている。
けど・・・。
嫌だなぁ。。。まずいよなぁ。。
そんな事を呟きながら、しかめっ面で不味そうに見える種をひとつ。。
ま・ず・い
でも、もうひとつ。。もうふたつ。。
20個ぐらい食べた時、おいしそうに見える種がコロンとひとつ出てきた。
! 不思議に思って、また池の底を覗いてみると・・・。
ひとつ、いいことがあったわ。
息子は、あたしを殴らないのよ。
それよりも、あの子なりの辛い事を、必死で我慢していたんだわ。
若いヒヨドリはホッとすると、
無意識のうちにおいしそうに見える種をパクって食べて・・・。
ああ。。おいしい。。と言った。
その時・・・。
でも、そんなことは無いわ。
やっぱりあの子は暴れだしたもの。。
幸せの種は、もうどこにも無いのよ。あたしには!!
と、泣き崩れてしまった。
だいぶん長いお話になりましたが、まだついてこれていますか?
あと少しだけお付合いいただきたいのですが、少し眠くなってまいりました。
この続きは、またの機会に・・・ということで(^-^)
今日の種の写真は、イチゴとお蕎麦です♪
では、また続きを読んでくださいね。
おやすみなさい☆
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面白いところでまた明日か・・・・サスガだなあ。
継続購読させられちゃいますね(^-^)
by kemm (2008-01-10 04:52)
今回は長編ですね~
続きが気になりま~す。
by ガンバルおやじ (2008-01-10 05:12)
読んでいて、いろいろ考えさせられます。
中味の濃い物語ですね。
続きが待ち遠しいです。
今日は、試験が終わった後なので
時間に気分的に余裕があります。
by gehirn (2008-01-10 06:31)
今日の私は、心が風邪ひいてます。
読んでて涙が出てきます。気持ちが同じだから・・・。
私の幸せの種。どっかに落としちゃったみたいです。。
by k-sakamama (2008-01-10 09:10)
深層心理ですね。
by (2008-01-10 09:42)
こんにちは。
生活しているとストレスはどうしても溜まるね。
私は仕事でのストレスが多い。
家ではパソコン三昧で好きなことだけしてるからストレス発散になる。
ブログを見て回るのも楽しみのひとつ。(^^♪
by 彩美 (2008-01-10 11:32)
ゆめ乃さん こんにちは
楽しかったです。 『おいしい種がいっぱいの時に、不味い種も
食べなくっちゃ駄目だったんだなぁ。』の言葉が印象に残りました。
by やおかずみ (2008-01-10 14:53)
kemmさん、こんばんは。
ニヒ^^ こうやって悪徳なあたいのブログの罠に、kemmさんを引きずりこんでゆくのでありました(笑)
またのお越しを、心待ちにしているざんす♪
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:02)
ガンバルおやじさん、こんばんは。
はいな♪ 今回は、ちょっと長くなってますね。
次回で完結ですので、もうしばらくのご辛抱を!!
最後までのお付合い、どうぞよろしくお願いいたしますぅ(笑)
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:06)
gehirnさん、こんにちは。
学業を続けられる決心をなさって、ほんとうによかったと思います。
大変でしょうが、いろんなことをいっぱい楽しんでください☆
おお。。早速、試験だったのね。
お疲れさまでした。
この物語は、そのときの心の持ちようで、いろんな風に感じ取れるかもしれません。
でも、難しく考えず、楽しんでいただけたらうれしいです。
続きを楽しみにしてくださって、ありがとうございます(^-^)
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:23)
k-sakamamaさん、こんばんは。
こぼれる涙を 拭わなくてもいいのよ
あなたの心のために こぼれてくれているのだから
その涙のひとしずくずつが 胸の奥深くに眠っている
あなたの種を輝かせるのだから
ダイジョウブダヨ
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:38)
こうちゃんさん、こんばんは。
深層心理だなんて、こうちゃんさんの読みも深いわねぇ~。。
それより。。。
こうちゃんさんをこうちゃん。。。って呼んでもいいのかしら?
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:40)
彩美さん、こんばんは。
そうね。。
人って、生きる・・・ってことだけでもストレスがたまるものらしいです。
でも、上手に逃がしてあげることが出来るのも、また生きているからなんですね。
彩美さんも、ちゃんと上手に逃がしてあげれているみたいで。。。
大好きなものが、ちゃんと近くにあってよかったね☆
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:45)
やおかずみさん、こんばんは。
楽しんでいただけて、とてもうれしいです。
そうなの♪
この回のポイントは、まさにそのことなんです。
受け止めてくださって、ありがとうございます。
あと少し、お付合いくださいね☆
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:48)
こばるとくれよんさん
punchちゃん
きぃ*さん
MNBさん
yannちゃん
ひでさん
西尾征紀さん
takagakiさん
tommy-miyabiさん
こんばんは☆見てくださって、ありがとうございます。
今日は、夕方西の空に、生まれたての細いお月様が見えました。
ほんのりと茜に染まる空に浮かぶ姿は、とてもきれいでしたよ☆
きぃ*さん
tommy-miyabiさん
はじめまして。。。
拙いブログですが、また見ていただけたら、とてもうれしいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします☆
by ゆめ乃 (2008-01-11 02:54)
イチゴチャン
人形かと思いました。(^_^;)
続編が気になって
今日、眠れないかも。。。
by e_chan (2008-01-11 11:18)
e_chanさん、こんにちは。
ふっふっふ。。カワユイデショ♪
「さがほのか」っていうイチゴちゃんなのよ。
ぷっくししていて、きれいなイチゴ色で。。美味しいのよ☆
お話の続きは・・・。
んな、眠れないほどじゃないけどさ(笑)
待っていてくださる・・・ってことが、すごくうれしいわ^^
ありがとう☆
明日のために、ゆっくり休んでくださいね。
by ゆめ乃 (2008-01-11 12:58)
目の前の種を手当たり次第に食べては、一喜一憂している。
こんな自分って、果たして幸せなのかなぁ・・・???
答えを見つけるために、明日もおつきあいしましょう!
by (2008-01-12 00:40)
binpakuさん、こんばんは。
きっとね。。一喜一憂しているときは、とっても幸せなときなんだと思いますよ♪
でも、自分ではなかなか気付かないものなのかも。。
とりあえず、続きをアップしておきましたので、
どうぞお付合いくだしゃんせ(笑)
by ゆめ乃 (2008-01-12 03:49)
チャッピィーさん
M-cubicさん
COCOさん
こんばんは。
こちらも見てくださって、ありがとうございます。
by ゆめ乃 (2008-01-13 17:55)
マクロ写真がとってもキレイ♡
今日の物語は、とっても深いですね。
わが身に置いて考えてみなくては!
by miwa (2008-01-19 19:26)
Anneさん、まだがんばって読んでいますね(^-^)
そんなに難しく考えないで、ただの読み物として読んでくださいな。
気付かぬときに、ふっと思い出せるようだと、うれしいかな・・ってお話だからさ(笑)
そうそう。。このマクロはお気に入りなの。
んでもって、このイチゴも毎年いただくけれど、とても美味しい品種ですよ。
by ゆめ乃 (2008-01-20 16:39)