元気です。- part 2 - [Novel]
残ったちぃさなすずめも、自分では相当慌てふためいてはいたのですが、
いかんせんまだ飛べない翼。
巣の端っこの端っこまでにじり寄り、パタパタ パタパタ。
ちいさな空気溜りを羽根に受け、ふと身体が浮いたと思うと、
まっさかさまに下まで落っこちていきました。
......................................................................................... **
ひぇ~ うんぎゃあ~。。
どんなに声を出しても、落っこち続けることには変わりありません。
それでも声を出し続けなければ、怖くってこわくってぇ・・・。
ふゅふぇ~・・・と、最後の声を絞り出したとき、なぜか身体がふぁっと浮いたような気がしました。
しかし、そんなことを深く考えるまもなく、身体は横になって、ドサッと落っこちてしまいました。
し・死んじゃったよぉ~ 僕。。
だって、ふわふわしてるもの、チクチクしているものぉ~。。。
怖くって、じっと瞑っていた目を恐るおそる開いてみると、
なんだか見慣れた光景と、目の前を遮るような藁の太い茎。
なんとちぃさなすずめは、忘れ去られていた積み上げた藁の中に、頭まですっぽりと埋まっていたのでした。
僕は助かったのかなぁ。。
怖かったけど、そんなに痛くないよぉ。。
んでも・・・。
ここから抜けるのがひと苦労だな。
よっこらしょ。。。
ちぃさなすずめは、藁の底の方にあるらしい足をバタつかせながら、
ちいさな羽を前にやったり後ろにそらしたりしながら、片方ずつ藁の上へと引きずり出した。
後は、身体を持ち上げるだけ。。
でも、もうお腹がすいちゃって・・・。
力が全然でないんだ。
疲れちゃったし、眠たいし、んもぅ~。。
いゃんなっちゃったよぉ。。。
そう言うとちぃさなすずめはまったく動かなくなり、
どれが雀でどれが藁だか分かんないまま時間だけが過ぎてゆきました。
日がほんの少し西に傾いた頃、すき過ぎたお腹を抱えてやっとちぃさなすずめが目を覚ましました。
夕暮れになって、小鳥たちが家へたどり着く頃になっても、ここの雀の一家は戻ってはきませんでした。
よっぽどあの音に驚いたと見えます。
でも、困ったのは残されたちぃさなすずめ。
たった一羽置いてけぼりにされた、昨日まで飛ぶことも出来なかった子雀。
餌だって、まだまだひとりでとったことがないのに・・・。
どうなってしまうのでしょうか・・・。
お腹がすいて死にそうでしたが、このままでは本当に誰かにやっつけられそうで、
ニジニジともがきながら、少しずつ藁の上まで這い出てきました。
やっと身体全部が抜け出せたのは、お月様がぐるりとひと回りした次の日。
東の空にお日様の頭がちょびっと見え始めた頃でした。
ちぃさなすずめは藁の上に寝そべって、昨日までいた天上の梁を見上げました。
あぁ~。。
あんなに高いところにいたんだよなぁ。。
どうやって戻ればいいんだろう。
おかぁちゃんは、いつ戻ってきてくれるんだろう。。
僕は、お腹がすいちゃった。。。
おかぁちゃぁ~ん おとうちゃぁ~ん おねぃちゃぁ・・・。
グシュ。。
呼んでも、だぁれもいないんだもん。
どうすればいいの?
僕、お腹がすいたよ。 淋しいよぉ。。 上までのぼれないよぉ。。
悔しくって、悲しくって、寂しくって、そこにある藁に当り散らし、
ますますくたびれてしまった様子のちぃさなすずめ。
かわいそうだけど、一度怖い思いをした場所へ、一家が戻ってくることは当分ないはず。
そのまま、ひとりすねていたって、ますますお腹がすくだけだと思うけれど。。
さて、この後どうするんでしょう、もう少し見ていることにしましょう。
泣き疲れ・・・鳴き疲れ。。。
もう、自分ひとりでは何も出来ないと思って、顔を藁にうずめた時・・・。
さっきさぁ。。。
ほら、落っこちている時。
ちょっとだけ、ふわってしたよね。
あれは、いつだったっけ?
僕は何をしたんだっけ?
あの、ふわっ・・・って感触は、
お母さんが言っていた飛ぶことと一緒なのかなぁ。。
えっと・・・・えっと。。
何をしたときに、フワッて・・・。
ちぃさなすずめは考え始めました。
落っこちるという初めてのことの上、
ひとりぼっちなってしまった悲しさで忘れてしまっていたこと。。。
ちぃさなすずめは雀の子供だってこと。。。
雀は鳥だってこと・・・。
お母さんと、毎日やっていたこと。
なんだったっけぇ・・・?
毎日、がんばってって言われて、何をしたっけ・・・?
うぅ~わかんなぁい。。
悔しくって、身体をよじりながら、羽をバタバタ バタバタ ばたぱ た・・。
ふわぁっ
あっ!!
思い出した。
バタバタバタバタ。。。
何度も何度も小さな羽をバタつかせていると、少しずつふわっと言う感覚が多くなってきて、
それがなんだかうれしくなって、またバタバタと羽を上下に動かしていると・・・。
ふわぁっ
身体がグラリと揺れたかと思うと、積み上げた藁の上から・・・。
ぎゃあ~
またまた、真っ逆さまに落っこちてゆきました。
2005-10-10 12:46:31up
2008-03-12 改
元気です | -1- | -2- | -3-つぎへ | -4- | -5- | -6- | -7- | -8- |
よろしければ、番号をクリックして読んでくださいね^^
まん丸の夕日が 枝の先から林の中へ
そして 森の中へと消えてゆきました
お陽さまの真ん丸さまで見えてしまうほど・・・。
やっと蕾の綻びはじめた梅さえも、ポトリと涙をこぼしそうです。
早く、すっきりと澄み渡った青空を見上げてみたいものですぅ。。
*** おぼえがき ***
どうして、お山が大きく見えるの?
って言うのは、冬になるといつも頭をもたげるギモン。
わりと近くにある少し高い山のおはなしなのですが、聞いてくださいます?
うっすらと雪を頂く形のいいお山なのですが、家の近くから見ると、とても大きく見えるんです。
でも、どんどんクルマで近づいて、ここよりは山に近い街外れまで来ると、なぜか、山は小さくなるんです。
不思議でしょ^^
まあこれは対象物となるものが、家の近くと山の近くでは違ってくるからなんでしょうけれど、
あたしにとっては、すごく不思議なことで、この不思議がとても大好きなんです(笑)
憧れは 遠い所から見上げると とても高いけれど
近づけば それほどのこともない
さあ 一緒に憧れに向かって歩き出しましょう
なんて気持ちにもなれるかも知れません。
ただ、う~んと近づいたなら、
その憧れは、首が痛くなるほど見上げても天辺が見えない高みだったりして・・・。
恐れをなして逃げ帰ることになるのかもしれませんがね(汗)
でもね。。。
憧れに近づくことを覚えたら、きっとその高みもいつか、そんなに高くないなぁ・・・って感じれるようになるはず。
あの毎年冬になると感じることの出来る、遠くからだと大きくて、近づくと小さくなる山は、
今年もあたしにうれしい誤解と、勇気を分けてくれているのかもしれませんね☆
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黄砂に花粉とお空は大変なことになっていますよね~
by ガンバルおやじ (2008-03-13 10:43)
早く続きを~~・・・
パート7まであるんだよね。
続きをみたいが、終わってしまうのもつまんない。
この気持ち、覚え書のお山と一緒かな・・・(違うか)
by yann (2008-03-13 11:50)
小雀ボクちゃん、少しだけど飛ぶことを覚えましたね♪
いよいよ次は冒険旅行かな・・・・。
by kemm (2008-03-13 11:53)
ガンバルおやじさん、こんばんは。
そうそう。。空の上は、すっごく大変そうです!!!
黄砂も花粉症の症状が出るって・・・・。。。
花粉症を患っていらっしゃったら、もういや!!!って感じでしょうね。
!? そういえば、ガンバルおやじも花粉症でしたっけ?
あたしは、いまのところ大丈夫なのですが、
山が花粉で黄色く霞むのが見えるような場所に住んでいますから、
なんとか、花粉症にならずにいなければ・・・と思っています^^
by ゆめ乃 (2008-03-14 02:25)
yannさん、こんばんは。
実は・・・。
パート7までは、何とかお話が出来ている・・・ってだけで、
まだ完結には向かってないのです(汗)
いま、ぽつぽつと続きを書いています。
いまはまだ、尾張ので口が見つかりましぇん。。。
では、名古屋辺りで・・・って分けにもいかず(笑)
四苦八苦で終わりの出口を掘っている所です(汗)
ダラダラしていたら、たまには 喝 !! を入れてくださいね。
お願いしますm(_ _)mペコ どうぞ。。どうぞ。。
そうそう。。前回のおぼえがきは、
前回のyannちゃんへのお返事の中に。。。ってことにしておいてね(爆)
by ゆめ乃 (2008-03-14 02:34)
kemmさん、こんばんは。
そうなの。。ちょっとだけ飛び方を思い出したみたいで・・・^^
そろそろ飛び立たねばいけませんよね♪
いざ行かん 冒険の旅へ
と、がんばってみますかね(笑)
by ゆめ乃 (2008-03-14 02:40)
gehirnさん
k-sakamamaさん
西尾征紀さん
binpakuさん
yukoさん
COCOさん
こんばんは。お話の続きを読んでくださって、ありがとうございました。
関東からもそろそろ桜の便りが届くようになりました。
天気図の次に、桜の予報が出てくるのも、まもなくかもしれませんね☆
by ゆめ乃 (2008-03-14 02:52)
はらはら、どきどきと読ませていただきました。
どうやら、雀さんは飛ぶことができるみたいですね。
一安心、一安心。
これからがまた楽しみです。
by gehirn (2008-03-14 06:48)
物語の続きが気になるので まとめ読みしてます(笑)φ(.. ;)
山のお話、おいらも感じます!(*/ω\*)
不思議な誤解、冬の澄んだ空気がもたらしてくれるぅ♪
by すぅ〜ちん (2008-03-15 18:36)
gehirnさん、こんにちは。
昨日、別のパソから遊びに行ってビックリ!
コメントが入れれなかったんだね。
なんだか、ひとつ解決するとまた新たなことが・・・みたいで、なかなか元に戻りませんね。
そんな中で、何度もコメントを入れにきてくださって、ありがとう☆
物語は、ちょっとダラダラとしてなかなか進展がなくでゴメンね(汗)
by ゆめ乃 (2008-03-16 18:22)
すぅ〜ちんさん、そのほうがいいと思います^^
ホントは一気に書き上げたいんだけど、以前のブログに文字制限があってね。
途中ではねられちゃった事があるので、小分けしています。
お話は、読みたい分量を自分のリズムで読むのが、いちばんですよ^^
山のお話・・・。
やっぱりすぅ〜ちんさんも、こんな風に感じることがあるの?
お仲間だぁ~♪
きっと空気のせいでしょうけど、すごく不思議な感覚になれて、楽しいですよね。
澄んだ空気、ばんざぁ~い(^v^)
by ゆめ乃 (2008-03-16 18:29)
彩美さん、こんにちは。
あったかい日が続きますね。
3月って、こんなに暖かかったっけ? なんて考えちゃいました(笑)
by ゆめ乃 (2008-03-16 18:31)
小雀ちゃんの大冒険の始まりだねo(^o^)o
イラストがカワイイ~♡
by Anne (2008-03-23 23:43)
Anneさん、ありがとうございます。
イラストは、だいぶん前に書いたもので、だんだん雑になっていくので・・・。
ひぇ。。
穴があったら、大きく掘りなおして、お尻からすっぽり入りたいですぅ。。(汗)
頭からだと、ちょいと淋しいので、そこんところはご愛嬌(爆)
by ゆめ乃 (2008-03-24 23:08)
misabooさん
mokaさん
こんばんは。ここも見てくださって、ありがとうございます。
空気が澄んでいると、山が大きく見えて、
霞がたなびくと、お陽さままで丸い姿を現しちゃいますね。
by ゆめ乃 (2008-03-24 23:14)