花夢 - 星の章 - [Novel]
その昔、
欲ばりな大岩の大王様は、金銀財宝を掘りまくり、
きらきら光る星屑さえも手に入れて、
夜が来れば、大地と空を隔てる境も隠し、
明るい夜を暗闇へと・・・
そして、
うーんと上を向いたときにだけ、
小さな星がひとつ見える世界へと、変えてしまいました。
そんななかでも、季節はめぐり
草花や木々たちは、新しい命を育んでいきました。
ある日、春の目覚めを促すヤマカゼは、
水辺で休む、美しい娘に出逢いました。
長く伸びたひわ茶色の髪が、ヤマカゼのおこした風で軽くなびき、
ふと瞳が重なりあった瞬間に、
ふたりは暖かな春の陽だまりの中で、恋に落ちました。
しかし、彼女、エメラルドは、大岩の大王様の娘。
大岩の大王様は、ヤマカゼが目覚めさせた草木たちを、
押しつぶし、穴を掘って、せっかくの緑を灰色に変えてゆきます。
草木たちは、たったひとつ残った星のために、
春は霞の粒を飛ばし、シフォンのベッドを 作っているというのに・・・。
それはまだ、太陽がおはようの準備もしていない、ある日の朝のことでした。
エメラルドに恋をしているヤマカゼに向かって、
皮肉たっぷりに、大岩の大王様が言いました。
「ヤマカゼや。 エメラルドを嫁にやってもよいがのぉ。」
『大王様。 エメラルド様を、わたくしに・・・で、ございますか』
『ああ・・・、こんなにも、うれしいことは、ございません。』
「ただし! ひとつ、条件がある。」
『はい、私に出来ることでしたならなんなりと・・・、お申し付け下さい。』
「ほほう、いい心がけじゃのぉ。」
「いまの言葉、決して忘れるでないぞ!!」
「ヤマカゼ・・・。 」
「おまえの力をもって、サクラ山を枯らしてしまえ。」
「あの山には、大量の銀がある。 草木は邪魔なのだ。」
『大岩の大王様 ! それは、だめです。』
『サクラ山の草木は、生きている命です。』
『そして、巡りまわって、私たちの命となります。』
「うるさい。 わしが一番大切なのは、金じゃ、銀じゃ、宝の石じゃ。」
「草木がどうなろうと、サクラ山がどうなろうと、わしには関係が無い。」
「さっさと行って、枯らしてしまえ。」
『大王様、それは出来ませぬ。』
『どんなにあなたが乞われても、私の心が壊れても。』
「なんという腰抜けか。」
「お前の力を持ってすれば、こんなことなど造作も無いこと!!
それを出来ぬじゃなどと、戯け(たわけ)たことをぬかすなんて!!
そんな腰抜けにゃ、何の用も無いわい。
エメラルドとの話は無かったものとする。 よいな!!」
「お前なんぞ、ここには要らぬもの。
さっさと、何処へなり、行ってしまえ!!」
大岩の大王様は怒りに任せ、あること無いことすべてに罪名をつけ、
ヤマカゼを罵り(ののしり)ました。
ヤマカゼは、泣き出すココロを抑えながら、そっと、その場を立ち去りました。
石柱の影でその様子を隠れ見ていたエメラルドは、
悲しくて、哀しくて・・・溢れる涙が止まりませんでした。
あれはいったい、何時の頃だったでしょうか。
たしか、太陽も起きてこない日の夜のことだったように思います。
突然、ヤマカゼとエメラルドの二人の姿が、
この国から消えてしまったのです。
すると、どうしてだか春は逃げ出し、冷たい雪の嵐がやってきました。
もう、春という季節が、半分以上過ぎたというのに・・・。
さてはて、お話は楽しんでもらえておるかな?
GWということで、高速道路ってやつはすごく混んでいるっちゅう話じゃ。
そんな所はかなわんと、この前に腰を下ろしたお方よ。
まあ、たまにゃゆっくりと、わしの戯言でも聞いてゆくかの?
ほっほっほ
それもまたよかろう。
お話はもう少し続くのじゃが、も少し付き合ってみるかのぉ?、
わっはっはっはっは
んじゃ、そろそろ話を先へとすすめるとしよう。。
冬の嵐は止む気配もみせず、
膨らみ始めた花の蕾も寒さに震える日々が続いていました。
それでも、ヤマカゼとエメラルドはどこへ行ったのか、
戻ってくる気配も見えません。
ああ。。。身から出た錆とは申しますが・・・。
大岩の大王様の嘆きは海よりも深く、何物にもかえがたく、
毎朝、毎夜、涙の海で暮らしているような有様でした。
「お願いだ、誰か・・・。」
「何でもしよう。 隠し持つ金銀財宝のすべてを、投げ出してもよい。」
「だれぞ・・・、だれぞ。」
「私の娘を捜してたもれ。 ああ・・・。」
《大王様。 見つけ出したら、どうするんだい。》
《大王様、二人をかい? ひとりをかい? 誰をだい?》
どうするどうするとワイわいわいがやがや、
人々は口々に叫びました。
なんたってヤマカゼに戻ってもらわなければ、
ちゃんとした春がやって来ないのですから。。。
大岩の大王様は言いました。
「二人を見つけてくれないか。 どうか・・・無事で。」
「わしは何のために金じゃ銀じゃと、金儲けをしていたんじゃろう。。
ただ、国を豊かにしたかっただけだったような・・・。
人々に楽をさせてやりたかったような・・・。
ただそれだけのつもりだったのに、
どうやら金銀財宝をむさぼっているうちに、
そんなことさえ忘れてしまったのかもしれない。
そしてもっと大事なことさえも。。。。」
「忘れていたんだよ。 娘の幸せは、わたしのシアワセ。」
「幸せとは、こころ。」
「全てのモノ達の、根底にあるやさしさこそが、本当の幸せ。」
「私に出来る償いの道とは、なんであろうか?
私に出来る最大の償いの道とは、緑溢れる国をつくることかもしれんのぉ。」
「想い出したんだよ。 太古の昔のレンゲの花畑を・・・。」
「思い出したんだ。 サクラ山の春が、いちばんうれしかったこと。」
「忘れなくてよかった・・・。」
《大岩の大王様。風だよ。風が吹いてきた。》
《だい王ちゃま。お風だね。 帽子がとぶゅよ。》
《ほんと、春の風ですよ。》
風だ、風さ、風ね・・・などと、みんながわいわい騒ぎ始めました。
「ああ、あたたかい・・・。 これが幸せか。」
「これが、春の喜びか・・・。」
大岩の大王様が涙で濡れた顔を上げると、そこには二人の姿がありました。
「よく帰ってきてくれた。ヤマカゼ、エメラルド、よく帰ってきてくれた。。。」
『大岩の大王様。 誠に申し訳ございませんでした。』
『こんなにも、大王様の心を悲しませて。』
『もっと、もっとたくさん、お話をすればよかったのに・・・。』
『たくさんの会話は、あなたの心の奥も知ることが出来る。』
『尽きない話は、あなたとの距離を縮める。』
『言葉はいつも、最後には愛を語る。』
『あなたの優しさの琴線に、触れようともしないで・・・。』
『ただ、若さの心を、突きつけただけで・・・。』
「よいのだよ。」
「若い心は、時に物事の真芯をつくことがある。」
「わしは年をとり、長年の慣れが出て、頑固になっていた。」
「お前たちのおかげで、皆の衆が声を上げた。」
「わしのために、泣いてくれた、笑ってくれた。」
「幸せとは・・・、愛だ。」
「世の中のため、国のため。わしには何が出来る・・・?」
『大岩の大王様。わたくしに、金の糸を分けてくださいませんか。』
『金の糸で羽を編み、風に乗せて高く飛ばし、』
『天上高くで、大きく散らばせ、幾万という星として・・・。』
『あなたの、そして私の・・・。 いえ、すべてのモノ達の・・・。』
『歩むべき路を指し示す、満天の星として・・・。』
「輝き放つ、満天の星・・・。」
「陽の光で輝きを増し、すべての路を示す。」
「そして、お前たち二人の未来を導く・・・。」
「老いた者の知恵は、とても素晴しいが、」
「若い心は、真実を映す。」
「いつの時代にも、ふたつの心を 繋ぎアイ、語り合って・・・。」
「幸せとは、シアワセとは・・・。」
「愛ある、思い遣りのココロ。」
「ああ・・ヤマカゼよ、ありがとう。」
こうして未来へと導く星を取り戻した国では、
やさしい季節の風も吹き、命の目覚めを促し始め、
財宝の掘削で荒れまくっていた山々にも緑が戻り、
人々の話し声や笑い声が途切れなく続いていったそうな・・・^^
H16. 3.15
H21. 5. 4改
*** おぼえがき ***
連休なのでちょっと読み物でも・・・などと思い、少し前の作品を引っ張り出してきました。
少し手を加えて、最初のものよりは良くなったのか悪くなったのか・・・(笑)
お時間が余りすぎたときにでも、ちょいと時間つぶしに読んでみてください^^
またカレンダーは一つ前の記事に添付してございますので、よろしければお使いになってくださいね♪
GWも残りわずかですが、きょうも楽しい一日になるといいですね☆
お出かけの際には、どうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ☆
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こんにちは。
GWといっても長い休みはないので
家でのんびり過ごします。(^o^)
by 彩美 (2009-05-04 17:06)
3枚目の樹の合間に浮かぶ月と4枚目の夕焼けが良いですねぇ。
今年は例年になくGWに出かけています。
もっとも近場ばかりですが・・・。
田植えのお手伝いは、良い想い出になりましたよ(^^)
by みみけん (2009-05-04 19:17)
私は仕事です~(泣)
by yann (2009-05-04 19:52)
こんばんわ
ブログ紹介から立寄りました。
綺麗な写真を洒落た文章に感動しています。
by furukaba (2009-05-04 20:57)
今夜は心に余裕がありませんので
後日 ゆっくり 訪問いたします。
by ララアント (2009-05-04 23:06)
物語、楽しく読ませていただきました。
途中で切れたので、続くになっちゃうのかなぁ・・・と心配しましたが、
最後まで読めて安心しました。
そう・・・やっぱりじっくり話すこと、そうすればわかり合える・・・ですよね。
by gehirn (2009-05-05 01:59)
GW。。。
やはり、不思議な国には。。。です。
夕日がとても綺麗~
そして、
詩を読ん見ながら出てくる
SAKURAでホッとしました。(^o^)/
by e_chan (2009-05-05 06:39)
ご無沙汰しました
月が良いですね~
物語を読みながら、写真の配置と絵柄が良いな~と関心
センス抜群です
by Qoo (2009-05-07 06:19)
素敵なお話を、ありがとうございました。
by やっぴー (2009-05-07 21:06)
夜桜の美しさを何回も拝見させて頂きました。
もちろん詩も。♪
by NsHome (2009-05-09 21:23)
凄いですネ・・・じっくり読ませて戴きました。
絵本にすると良いのかなぁ・・・と思いましたね。
私なんぞ、こんな言葉の端っこも見つかりません(><)
ホンと、素晴らしい物語が写真と共に出来ましたね。
by ちゃーちゃん (2009-05-11 19:33)
彩美さん、こんばんは。
GWはカレンダー通りだったのかしら?
あたしも似たようなものだけど、プラス土曜日一日でした(笑)
お休みギリギリまで忙しかったから、どうしようかなぁ・・・なんて考えていたけど、
最後の二日間だけ、ちょっとお出かけしてきました。
by ゆめ乃 (2009-05-14 02:31)
みみけんさん、こんばんは。
ありがとうございます♪
お月さまと夕焼けは、写すの大好きなのでうれしいです☆
みみけんさんのお出かけには、ETCも少しはお役に立っているのかしら?
あたしはまだゲットできずにいますので、した道とことこドライブ派です(笑)
それにしても田植えの経験を親子で出来たって言うのは、すごくいいことですね。
この後の収穫にも行かれると、もっといいです!!
刈り立ての稲のあのお陽さまの香りって、すごく記憶に残りますものね。
これからご飯を食べるたびに、稲の成長が食卓の話題に上って、
お米を食べるのも楽しくなるでしょうね^^
by ゆめ乃 (2009-05-14 02:40)
yannちゃん、こんばんは。
おつかれさまでした♪
仕方が無いね^^
こんなときこそ、yannちゃんのお仕事は引っ張りだこですものね。
GW明けに、少しお休みってもらえるの?
・・・・。。。。無理かなぁ~。。
まあ、あたしはしっかりお休みを頂きました(笑)
by ゆめ乃 (2009-05-14 02:45)
furukabaさん、こんばんは。
ブログ紹介からたどり着いていただけて、とてもうれしいです。
ありがとうございます。
まだまだ写真も文章も下手ですが、そう言って頂けると、
またかんばって書いてみようかしら?なんて、ひとりでにやけちゃっています(笑)
うれしい感想も、ありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
by ゆめ乃 (2009-05-14 02:53)
ララアントさん、こんばんは。
この日、時間が無くてコメントをかけなかったのですが、
ここのララアントさんの様子が気になって、ちょっとブログにお邪魔していました。
お母さまのこと、ララアントさんのこと。。
ああ。。大変だったなぁ・・・と思い、いまはそっとしておきましょう・・と、
こちらに戻ってきてしまいました。
後でまたお伺いして、おふたりの様子を確認したいと思います。
大変なときは、コメントを書かなくても大丈夫ですよ。
かわいいアイコンの足跡で、ちゃんとララアントさんの気持ちも受け取れますから。
その代わり、お時間のあるときは、いっぱいお話しましょうね^^
by ゆめ乃 (2009-05-14 02:59)
gehirnさん、こんにちは。
やっぱり、おはなしは一気に読めたほうがいいかしら?
少し長めのお話もあるんだけど、だいじょうぶ?
gehirnさんがそのほうがいい!!っておっしゃってくださるなら、
一気に書き上げちゃうけど!!?
いいかな(笑)
話し合うこと、言葉にすること・・・
これはとても大切なことですね。
日本人は特に、分かるはず、分かってもらえたはず・・・って思いがちですものね。
ちゃんとある程度は分かっても、言葉にすること、話し合うこと。。
そうすれば、少しずつ欠けていた心のパズルも、ちゃんと組み合わせることが出来ますから。
大切な人とは、必ずたくさん話し合いましょうね☆
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:05)
e_chanさん、こんにちは。
ああ。。そうだったわね^^
不思議なお国では、この時期の長いお休みは・・・ですね(笑)
いろんなブログへ遊びに行って、いっぱい羨ましがって行ってね♪
今年のGWは、あたしものびの~びぃさせていただいちゃいました(^∇^)
お話を読んでくださって、サンキュねっ♪
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:11)
Qooさん、こんばんは。
こちらこそ、ご無沙汰しています。
お話を見てくださって、ありがとう☆
あらあら・・・センスがいいなんていわれると、ぷ・プレッシャーだわ(笑)
と言いながら、ホントは喜びの舞を踊ってしまっています(爆)
すっごくうれしかったです。
ありがとうございます^^
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:21)
やっぴーさん、こんばんは。
お話を読んでくださって、ありがとうございます。
最近はお体の調子は、いかがですか?
気持ちには、握りこぶしひとつ分の空間を空けて置いてくださいね。
もし心がシュンとなることがあったときでも、
上手にいろんなものをかわしていけますからね☆
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:26)
NsHomeさん、こんばんは。
ああ。。
こんなに夜桜を楽しんでいただけるのなら、
もう少し写真をアップすればよかったです。
今年は、あまり出かけられなかったのですが、
朝倉氏遺跡の桜はとてもきれいだったんですから。。
また、いつかね♪
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:29)
ちゃーちゃんさん、こんばんは。
お話を読んでくださって、ありがとうございます。
あたしは、こういうようなお話しか書けないので、
こんなお話でも、そう言っていただけるのが、
何よりもの励みです。
ありがとうございます。
下手の横好きですが、またポチポチと書いて行きますので、
よろしければまた、お付き合いくださいね^^
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:33)
お茶屋さん
qoo2qooさん
majoramuさん
hasさん
sazanさん
Bon-Papaさん
kakasisannpoさん
たっちさん
Camel!さん
ガンバルおやじさん
ケイクスさん
火丁さん
スミッチさん
piattopiattoさん
こんばんは。
見てくださって、ありがとうございました。
いやはや・・・。前日までが異様に暑かったので、
少し雨降る今日の寒さが、とても堪えます。
多分、平年並みよりはうんと暖かいはずなのでしょうがねぇ~。。
人間の身体で感じる温度って、とても不思議ですね☆
by ゆめ乃 (2009-05-14 03:43)
お散歩さん
西尾征紀さん
ブラザーボブかきもとさん
くらいふさん
COCOさん
こんばんは。
お話を読んでくださって、ありがとうございました。
by ゆめ乃 (2009-06-04 00:29)